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ジェンダーと政治理論|メアリー・ホークスワース 新井美佐子・左髙慎也・島袋海理・見崎恵子/訳

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今日のフェミニズム研究に不可欠な視点である「インターセクショナリティ(交差性)」を前面に押し出し、豊富な事例や広範な先行研究をふまえて政治理論の近代以降の基軸に異議を申し立てる、積年のフェミニズム研究の大いなる成果。 目次 第一章 性別化された身体――挑発  セックスを解釈する  セックスを脱自然化する 第二章 ジェンダーを概念化する  ジェンダーの歴史をたどる   言語学からの教訓   ジェンダー、および身体化された差異の規制   性的二形性を混乱させる  セクシュアリティを脱自然化する  セックス、ジェンダー、セクシュアリティの関係性を精査する   生物学的還元主義者の説明   パフォーマティヴな連関   構造的説明  ジェンダーを錯綜させる 第三章 身体化=身体性を理論化する  人間本性  身体を人種化し、ジェンダー化する  ジェンダー化された人種化と植民地化  近代の身体化からポスト近代の身体化へ  結論 第四章 公的なものと私的なものを描き直す  正典とされてきた説明  構成的な矛盾――リベラルな家父長制  公/私二元論への現代的取り組み   結婚   セクシュアリティ   身体の商品化 第五章 国家と国民を分析する  西洋政治理論における国家概念  ジェンダー化された制度としての国家  国民と国家  国民国家における人種化、ジェンダー化、異性愛化   奢侈禁止法から服装規定へ   政治的統一体を標準化する   異性愛化 第六章 不正義の概念をつくり直す  正義と国家  国家の不正義   人種化   ジェンダー化された排除と危険   アイデンティティを無効にすること、現実を強制すること   ポストコロニアル的、帝国主義的介入  国家にもとづいて正義にアプローチすることの限界  社会変革を構想する 日本語版の読者へ  特殊性を深掘りする  フェミニズムがたどってきた道  架橋する  訳者あとがき  参考文献  人名索引  事項索引  著者・訳者紹介 ______________________ 日本語版の読者へ  エドワード・サイードは評論「移動する理論」(Said 1982:196)のなかで、「理論は、一つの歴史上の時代や民族文化から別のものに旅するにつれ、変化し、別の時代や情況にとってはまったく異なるものになる」と指摘した。そうした変化は諸観念の創造的領有や、原語の概念にぴったり合う訳語の不在、新たな文脈に落とし込むための変更、そして言語上ないし文化的政治的な理由で翻訳が難しい構成部分の省略に起因する。一つの社会政治的な環境から別のそれへとテクストを移し替えるのは、非常に困難な作業である。  (…中略…)  本書『ジェンダーと政治理論』は、政治生活を解明するためにフェミニストたちが導入した思考の、豊富な差異のいくつかを概観する。過去四〇年の間に、フェミニズム理論はさらに、批判的人種理論、クィア理論、ポストコロニアル理論、トランス*理論との出会いによって異議を申し立てられて豊かなものになった。本書はこれらの重要な異議申し立てに取り組むことによって、性別、性差、セクシュアリティ、ジェンダー、性自認、ジェンダー表現、身体性=身体化、生物学的物質性の意味、ジェンダー公正の可能性に関する現代の論争を包括的に説明しようとした。きわめて厄介な日常レベルの政治から有益な理論上の論点を抽出するために、本書では、世界各地でフェミニストと有色の人々、およびLGBTQ+のアクティヴィストの間の連携を破壊し、あるいは妨げているあからさまな対立を論じていない。ほかならぬこの抽象化が、社会正義の可能性をめぐって困難な対立に巻き込まれている多数の人々にとって、受け入れがたい怠慢だと思われるかもしれない。  日本語への翻訳を考えたとき、私はこの著作に浸透している西洋のバイアスを強く認識した。知の主張の特殊性および偶然性に関する議論を提起するに際して、本書は、ジェンダー化された排除の特定の技法と時代性、抑圧と解放のレトリック、包摂のための闘争という、西洋の文脈を前提にしている。日本の活動家たちは、「東京婦人矯風会」の設立〔一八八六年〕以来、少なくとも一三五年にわたって西洋の女性権利擁護〔運動〕に関わってきた。しかし天皇家父長制の遺産、宗教および文化の諸慣行、広島と長崎の原爆経験により誕生した平和主義の諸活動、そしてアメリカ軍の占領をめぐる緊張した歴史が日本独自の状況―そこでは、本書のいくつかの議論が的外れになる―を醸成しているのかもしれない。  (…後略…) ______________________ メアリー・ホークスワース (メアリー ホークスワース) (著) 1952年生。米国マサチューセッツ大学アマースト校(政治学、1974年)卒業(最優秀学生)、米国ジョージタウン大学修士課程(政治学、1977年)および博士課程(政治学、1979年)修了。政治学博士。米国ラトガーズ大学教授、特別教授(DistinguishedProfessor)を経て、名誉教授。2005~2015年 Signs:Journal of Women in Culture and Society編集長。 主要著作 ・Globalization and Feminist Activism, 2nd Edition, Rowman and Littlefield, 2018. ・Embodied Power: Demystifying Disembodied Politics, Routledge, 2016. ・The Oxford Handbook of Feminist Theory, Oxford University Press, 2016.(Lisa Dischと共編) 新井 美佐子 (アライ ミサコ) (訳) 名古屋大学大学院人文学研究科ジェンダー学分野教員。博士(経済学)。 左髙 慎也 (サダカ シンヤ) (訳) 名古屋大学大学院法学研究科博士後期課程。日本学術振興会特別研究員(DC1)。専門は政治学。主たる業績(単著)に「フェミニスト制度論は、どこから来て、どこへ行くのか?(1)(2・完)フェミニズムと制度論の統合に向けた理論的考察」『名古屋大学法政論集』第289号・290号、2021年。 島袋 海理 (シマブクロ カイリ) (訳) 名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程。 専門は教育社会学。主たる業績(単著)に「性的マイノリティに対する文部科学省による支援策の論理――性別違和と同性愛の相違点に着目して」『ジェンダー研究』第23号、2020年。 見崎 恵子 (ミサキ ケイコ) (訳) 愛知教育大学元教授。専門はフランスの社会経済史、女性・フェミニズム史。 上記内容は本書刊行時のものです。 明石書店 2022年 四六判 上製 344P

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