たとえ表現された歌の内容にたどり着けてはいないとしても、民子の歌にはその世界に身を委ねていられるたのしさがある。民子の歌の底には、さびしさ・かなしさ・なつかしさが深く漂っている。ただ甘く夢想的な歌との違いが、そこにある。(坂梨隆三「解説」より)
切り株につまづきたればくらがりに無数の耳のごとき木の葉ら
てのひらをくぼめて待てば青空の見えぬ傷より花こぼれ来る
みづからを錘(おもり)となして沈みゆく夜々に藻草(もぐさ)のまつはりやまず
<版元インフォより>
現代短歌社
2014年
文庫版 121P