70年以上にわたり、民具や農具、印刷物、生活用品など 50 万点以上ともいわれる「生活文化財」を蒐集してきた秋田の蒐集家・油谷満夫。キュレーターの服部浩之が、油谷への度重なるインタビューと資料調査をもとに、その90年を超える人生と蒐集の軌跡をたどりながら、捨てられていくものを残すことの意味と、これからのミュージアムやアーカイブのあり方を問い直す一冊です。
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油谷満夫が長い時間をかけて集めてきたものを、服部浩之が「ことば」からたどり、岩根愛が「写真」に収め、吉田勝信が一冊の「もの」へと組み上げる。
書籍『蒐集がアートになるとき』は、その内容だけでなく、本を手に取り、ページをめくるという体験そのものから、蒐集すること、ものを残すことについて考える一冊となりました。
10 回を超えるインタビューから、蒐集人生をたどる
著者の服部浩之が油谷満夫と出会ったのは、2021 年。秋田市文化創造館の開館を記念して開催された展覧会「200 年をたがやす」の監修を務め、その準備のなかで油谷にインタビューする機会を得たことが始まりでした。その後、服部は活動拠点を愛知に移してからも秋田に通い、10 回を超える長時間のインタビューを重ねました。毎回、あらかじめテーマを油谷に伝えてから聞き取りを始めるものの、話はしばしばテーマを離れ、ある物との出会いから仕事の記憶へ、地域の歴史へ、そしてまた別の蒐集物へと、縦横無尽に展開していきます。
服部は、インタビュー時のメモや録音、そのテープ起こしを何度も何度も振り返りながら、90 年を超える油谷の人生と、70 年以上にわたる蒐集活動の軌跡を一冊の本へと編み上げました。
倉庫を巡り、蒐集された「もの」とその風景を写す
写真を手がけたのは、写真家の岩根愛。
岩根は 2025 年夏に二度にわたり撮影のために秋田を訪れ、油谷が所有する県内各地の倉庫を巡りました。そこにあるのは、一点ずつ切り離された「資料」だけではありません。長い年月をかけて集められた膨大なものが棚に並び、積み重なり、ときに隙間なく空間を埋め尽くしている。岩根の写真は、蒐集物そのものとともに、それらが現在置かれている場所、そして油谷の蒐集がつくり出してきた風景を記録しています。
「もの」としての本をつくる
ブックデザイン・造本設計を手掛けた吉田勝信は、油谷の蒐集活動と、膨大なものが保管された倉庫の情景に触発され、本書そのものを手触りのある「もの」としてつくることを提案しました。
誌面のデザインにも独自の方法を採用しています。一般的なデザインソフト上でレイアウトを完結させるのではなく、文字や図版を紙に出力し、それらを切り、貼り合わせた「紙版」を制作。その物理的な作業から生まれるずれや重なり、揺らぎを誌面へと取り込んでいます。
整然と分類されるだけではない油谷の蒐集のありようを思わせるように、文字や写真がページのなかで動き、480ページにわたって独特のリズムをつくり出します。
<以上、版元インフォより引用>
NPO 法人アーツセンターあきた
2026年9月
四六判上製本
480P(撮りおろしカラー写真64P含)
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