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エドゥアール・グリッサン 〈全-世界〉のヴィジョン|中村隆之

2,420円

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カリブ海フランス領マルティニック出身の作家エドゥアール・グリッサン(1928-2011).「詩学」という独自の表現手法を用い,西洋的歴史観に抗し,植民地として収奪されてきた島・民の視点から歴史と世界を編み直し続けた.根源的な思索の末にたどり着いた〈全-世界〉という思想は,混迷深まる現代に何を問うのか. ■編集部からのメッセージ  〈魂〉の脱植民地化へ  エドゥアール・グリッサン(1928-2011)は,カリブ海フランス領マルティニック出身の作家です.「詩学」という独自の表現手法を用い,西洋的歴史観に抗し,植民地として収奪されてきた島・民の視点から歴史と世界を編み直し続けました.そして,壮大な創作活動と,根源的な思索の末にたどり着いたのが〈全‐世界〉という思想です.  こうしたグリッサンの文学,思想は難解です.しかし,著者の中村隆之さんは,鋭く,無駄のない文章で,グリッサンの文学,思想に迫っており,日本の読者の心に響く内容になっています.私自身が,本書の原稿を読みながら考えたことは,「〈魂〉の脱植民地化」というものです.支配され,収奪される歴史が続く中で,自分たちが支配されているという事実そのものから目を背けようとする.そして,支配する側に同化しようとする心理も働く.グリッサンは,「植民地化とは何か」という問いを,根源から追及します.今日の日本とアメリカ,そして沖縄との関係などを,何度となく想起させられました.  中村さんは,大学四年生のゼミの課題として,グリッサンの著書『レザルド川』をフランス語で初めて読み,それがグリッサン研究に踏み出した最初だったと「あとがき」で述べます.その後,グリッサンについての卒業論文,博士論文を執筆し,またマルティニック島のグリッサンの自宅を訪問したといいます.本書の表紙カバーにある青い印象的な絵は,グリッサン自身によるデッサンです.2001年に来日した際,中村さんがグリッサンから贈られたものです.  グッリサンの思想は,混迷深まる日本社会,そして国際社会を見つめる上で,貴重な視座を与えてくれることと思います. 田中宏幸 プロローグ 第1章 開かれた船の旅 1 ガニの夢 2 開かれた船 3 カリブ海の詩人 4 インド 5 関係 第2章 〈一〉に抗する複数の土地 1 詩的意図 2 ネグリチュードの「叫び」 3 黒人文学論 4 『レザルド川』 5 関係と脱植民地化 第3章 歴史物語の森へ 1 フォークナー/グリッサン 2 逃亡奴隷と歴史 3 もう一つの歴史を語る 4 カリブ海的歴史の想像 5 不透明性の森へ 第4章 消滅したアコマ,潜勢するリゾーム 1 『カリブ海序説』という試み 2 集団的衰弱 3 否定と潜勢 4 〈存在〉から〈関係〉へ 5 〈われわれ〉の小説 第5章 カオスの海原へ 1 風景のリゾーム 2 漂流する語り 3 〈全-世界〉論 4 見えない土地への旅 5 「本当のことなど何もない,すべては生きている」 エピローグ 注 あとがき エドゥアール・グリッサン著作一覧 中村隆之(なかむら たかゆき) 1975年生まれ.東京外国語大学大学院博士後期課程修了.現在,大東文化大学外国語学部専任講師.著書に『カリブ-世界論――植民地主義に抗う複数の場所と歴史』(人文書院),『フランス語圏カリブ海文学小史――ネグリチュードからクレオール性まで』(風響社),共著に澤田直編『サルトル読本』(法政大学出版局),川満信一・仲里効編『琉球共和社会憲法の潜勢力――群島・アジア・越境の思想』,西谷修・仲里効編『沖縄/暴力論』(以上,未來社),訳書にエドゥアール・グリッサン『フォークナー,ミシシッピ』(インスクリプト),J・M・G・ル・クレジオ『氷山へ』(水声社),エメ・セゼール『ニグロとして生きる――エメ・セゼールとの対話』(法政大学出版局,立花英裕との共訳)など. <以上、画像・テキストともに版元インフォより> 岩波書店 2016年2月

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